慰安婦に関する心理歴史的研究 強制をめぐり 20180812

 吉見は『従軍慰安婦』Ⅲ「女性たちはどのように徴集されたか」2「朝鮮からの場合」で具体例を挙げている(以下九二~九八頁)。
 「だまされた事例」では、宋神道は「母のきめた男」との結婚がいやで家出し、「数カ月子守など」で生活していたとき「美しい身なりの朝鮮人女性に誘われ」、平壌で「朝鮮人の男に売られた」。
 李英淑は「朝鮮人夫妻」に釜山まで連れられ「日本人に引き渡され」た。
 文必ギ(王+基)は「朝鮮人の男」に声をかけられトラックに乗せられた。そばに「村の派出所に勤務する日本人巡査が立っていた」ことを重要と述べるが、彼女に直接関わったのは同胞である。
 「身売り」の事例では、朴順愛(仮名)は再婚した夫が「紹介所」に「売り渡した」。
 「暴力的連行」の事例では、文玉珠は「軍服を着た日本人」が「腕を引っ張って」というが、より詳しくは彼女自身が「日本人の憲兵と、朝鮮人の憲兵と、朝鮮人の刑事」に拘束されたと述べている(森川万智子『文玉珠 ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私 歴史を生きぬいた女たち』梨の木舎、一九九六年、二八頁以降)。
 吉見は「日本人巡査が立っていた」ことを強調する一方で、同胞の関与を控え目にする。「自由意志でその道を選んだようにみえるときでも、実は、植民地支配、貧困、失業など何らかの強制の結果」として(『従軍慰安婦』一〇三頁)、支配していた日本の「強制」に結びつける。
 一定の視点による研究というより、偏った解釈で、実証的でも論理的でもないと言わざるを得ない。

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